お待たせいたしました。 夏編に続き冬編です。
いよいよ冬編の断熱ガラス比較の登場です。
結露防止に使われる断熱ガラス、いろんなガラスがありますが、きちんと差があるのでしょうか?
実際、どのガラスにすればうちの家の結露はなくなるの?ペアガラス?Low-Eペアガラス?真空ガラス?
快適な室内環境でも結露しないガラスを探しましょう!
室温は24.4℃、湿度は54%です。健康で快適な室内環境といわれるゾーンに合わせています。
実験では、健康で快適な室内環境においてどのガラスを選択すれば結露しないのか?を知ることができます。
小学校の理科の授業の時に見たことがある「空気線図」を使えば、室温と湿度がわかっていれば露点温度がわかります。
露点とは、温度が低下すると空気中に含まれる水蒸気の一部が水滴となり、目に見えるようになる(結露する)ことで露点温度というのは、結露し始める温度のことを言います。
実験をした部屋の室温は24.4℃相対湿度54%の時の露点温度は15℃です。
この部屋の中に15℃以下のものがあればそこには結露がついているということになります。
言い換えれば、「15℃以上であれば結露はしない」ということです。
実験内容:
4枚のガラスで制作した水槽の中に氷水をガンガンいれて、それぞれのガラスの熱の伝わり方を実験します。
水槽内の水温を真冬の外気温に近い温度まで下げて、どのガラスにどれだけの結露がつくのか調べてみます。、
ガラスは、単板ガラス3?フロート板ガラス、ペアガラス(複層ガラス)、遮熱・高断熱ペアガラス、真空ガラスを使用。
※氷を入れる前のそれぞれのガラスの表面温度は23℃(+ -0.2)でした。
ガラスの断熱実験をするために作ったガラス実験水槽です。
この水槽は、4枚の別々のガラスで作ってあります。
1.単板ガラス(1枚ガラス)
2.複層ガラス(ペアガラス)
3.Low-Eペアガラス(エコガラス)
4.真空ガラス(スペーシア)
水槽の中の水温とそれぞれのガラスの表面温度を測定できます。
赤外線サーモグラフィは、対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出して、見かけの温度に変換して、温度分布を画像表示できます。
これはすごいです!興味がありすぎて買ってしまいました。
水槽に氷を入れた状態で1時間放置しました。さて、ガラスにはどのような温度変化があったのでしょうか??
単板ガラス(1枚ガラス)の表面温度は、3.5℃でした。
水槽の中の温度は1.7℃からすると単板ガラス(1枚ガラス)というのは、雨風がしのげるといった程度でほとんど断熱効果はないといえます。
一枚ガラスの窓際は寒いわけです。外の寒さをまったく防げていませんから・・・。
露点温度は15℃でしたので、3.5℃のガラス面にはびっしりと結露がついています。
複層ガラス(ペアガラス)の表面温度は12.7℃でした。
断熱性能が高いといわれている複層ガラス(ペアガラス)1枚ガラスとは差がありますね。
ペアガラスだから大丈夫!いえいえ、露点温度は15℃なので、表面温度12.7℃のペアガラスもアウトです。
写真を見ていただいてもわかるとおり、結露でびっしょりです。
ペアガラスなのに結露するなんて方、結構おられるのではないでしょうか?
Low−Eペアガラス(エコガラス)の表面温度は15.5℃でした。
さすがはLow-Eペアガラス。露点温度15℃をギリギリのところでクリアです。
しかし、ギリギリ感はとれませんね。この状況では結露はしませんでしたが、状況によっては結露するかもしれないということがこの実験でわかっていただけると思います。
Low-Eペアガラスであれば、何でもいいというわけではないということです。
空気層は6?ではなく、12?以上はほしいところですし、欲を言えば空気よりも比重の重いアルゴンガス入りを選びたいところです。
真空ガラス(スペーシア)の表面温度は、19.5℃でした。
魔法瓶の原理の真空ガラスさすがです。露点温度15℃を余裕のクリアです。
さすがはトップレベルの断熱性能をもつガラスです。
ガラスだけに目を奪われていてはいけません、窓にはアルミフレームがあります。
サーモカメラの熱画像をもう一度よく見てみてください。
左が単板ガラス(一枚ガラス)、右が真空ガラススペーシアです。
どちらとも温度が低い青く映った部分があります。
「スペーシアも冷たい部分があるんじゃない?」っと思われた方、実はこの部分はアルミのフレーム部分です。
単板ガラス(1枚ガラス)もスペーシアもアルミ部分には同様に結露が見られました。
ここは重要なポイントです!
高断熱の真空ガラスでも、アルミサッシは結露します!
アタッチメント付のペアガラスはアルミ部分が増えるので結露する部分が増えることになります。
理想を言えば、やはりサッシはアルミではなく、アルミ+樹脂サッシ、欲を言えば樹脂サッシが理想です。
マンションにお住いの方や、一軒家にお住まいの方でも、なかなかサッシの取り換えまでなると・・・っという方は
樹脂製、木製の内窓(2重窓)がおすすめです。もちろん、内窓に使用するガラスはLow-Eペアガラス以上です。
快適な室温、湿度の環境の中では、どのガラスが結露しないのか?見ていただけたと思います。
ただ、結露しないと言っても、ガラスはスポンジのように水分を吸い取ることはできません。断熱効果の高いガラスにすることによってガラスの表面温度を下げにくくすることが出来ます。
空気線図でもわかるように、室温、湿度の環境によって結露が発生する温度(露点温度)が決まってきます。
その為、ご自宅のお部屋の状況の場合にはどのガラスがいいのか?っというのはきちんとお部屋の状況を把握する必要があります。
結露対策に窓の断熱改修をお考えであれば、施工業者は何も言わなくても室温、湿度くらいは計測をする業者を選ばれることをお勧めいたします。
ペアガラスだから大丈夫とか、真空ガラスなら安心ですではなく、自分の家にあった窓を知ってください。